更新日:2016. 12. 20.
光によって起こる反応
光によって起こる反応を一般に光化学反応と言います。光触媒によって起こる反応(光触媒反応)も広い意味では一種の光化学反応です。しかし、光化学反応と光触媒反応は通常、区別して使われています。
ふつうにいう光化学反応は、図3に示すように、反応物(基質ともいう)が光を吸収して励起状態となり、その状態から生成物になります。光化学反応にはもう一つのタイプの反応があります。反応物以外の分子、原子あるいはイオンなどの物質が光吸収して反応が起こるものです。これを光化学増感(反応)といい、光を吸収する物質を増感剤といいます。
光化学反応の増感剤も一種の光触媒といえますが、固体の光触媒とは反応の仕組みが違います。光化学増感では、光励起した増感剤のエネルギーあるいは電子は、反応物と衝突したときに、反応物に移行します。したがって、増感剤と反応物の間には一般に結合はできません。
一方、固体の光触媒では、反応物は光触媒に吸着します。そして、吸着した反応物は、光触媒中に光によってできた電子と正孔と反応します。また、その後にできる反応中間体も光触媒に吸着し・トおり、途中で飛び出すことはありません。
このように、光触媒反応は、光化学増感反応とは反応物と反応中間体が吸着しているという点が違います。このことがしばしば混同されますので注意してください。
さて、通常の触媒は光を使いませんが、固体光触媒とは、吸着によって反応が起こるという点でよく似ています。触媒では、反応物が熱によって吸着し活性化されて反応を起こします(触媒入門参照)。一方、光触媒反応は、光励起状態の光触媒上に分子が吸着して活性化されて反応します。この活性化の過程が違うだけで、他の過程は触媒も光触媒も大差ありません。したがって、光触媒反応にも、光が関与しない、熱エネルギーによる触媒作用が含まれることになります。
光触媒といわれるものの中には、光によって通常の触媒ができ、光を切っても反応が継続するタイプのものがあります。できた触媒の寿命が非常に短いときには、光照射中にしか反応が起こらず光触媒反応のように見えるので、このような触媒も光触媒として取り扱われています。
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